レポートの要点
- •BlackRockの1Q26決算は、売上高27%増、調整後営業利益31%増、純流入130Bドルと好調で、特にETF(132Bドル)、プライベート・マーケッツ(9Bドル)、アクティブETF(19Bドル)への資金集中が顕著であった
- •決算は、市場が上昇する局面でも顧客が高付加価値商品や実装能力を持つ運用会社へ資金を絞り込む構造変化を示し、ETF事業の実効フィーレート改善、機関投資家中心の私募資産戦略、AladdinとPreqinを軸とした金融テクノロジーの価値上昇がその要因である
- •今後の運用業界は、ETF・債券・国際分散で規模を追求する会社、プライベート・クレジットやインフラで機関投資家資金を動かす会社、そしてそれらを支えるデータ・リスク管理・販売プラットフォームを持つ会社が優位に立つと予測され、単一商品依存やデータ基盤の弱い会社には逆風となる
(金融・資産運用セクター担当/ストラテジー担当)
報告テーマの概要
今回のBlackRockの1Q26は、単なる好決算というより、資金移動が起きる局面で「公募・私募・テクノロジーを束ねた総合運用プラットフォーム」に資金と相談案件が集中しやすいことを確認した決算でした。売上高は6.7Bドルで前年同期比27%増、調整後営業利益は31%増、調整後EPSは12.53ドル、四半期純流入は130Bドル、オーガニック・ベースフィー成長率は8%、調整後営業利益率は44.5%でした。HPS買収とPreqin買収も既に収益寄与が始まっており、HPSは四半期ベースフィーに約230Mドル、Preqinは売上に約65Mドル寄与しています。
特に重要なのは、記録的なETF純流入132Bドル、プライベート・マーケッツ純流入9Bドル、Aperioの13Bドル流入、アクティブETFの19Bドル流入が同時に走ったことです。一方で、低料率の機関投資家向けインデックス株式では35Bドルの流出もあり、何でも伸びたわけではありません。つまり、今回の決算が示したのは「市場が上がれば誰でも良い」ではなく、「顧客が相談先を絞り込み、より高付加価値の商品と実装能力を持つ運用会社へ寄る」という構造変化です。
ニュース/レポートの要点と市場へのインプリケーション
1つ目は、ETF事業の見え方が変わってきた点です。BlackRockは債券ETF、国際分散、エマージングや単一国の精密配分など、より料率の高い領域で需要を取り込み、実効フィーレートを前四半期比で0.2bp押し上げました。ETFは手数料競争一辺倒という見方ではなく、商品レンジと流動性、営業網があればミックス改善で利益を伸ばせることを示しています。
2つ目は、プライベート・クレジットを巡る見方です。足元ではリテール向けエバーグリーン商品の解約懸念が話題になっていますが、BlackRockは私募資産の投資家基盤の85%が機関投資家中心で、保険会社向けのマルチビリオン規模パイプラインも積み上がっていると説明しました。これは、今後の勝者が「私募資産にいる会社」ではなく、「機関投資家マネーと保険バランスシートの調達力、審査力、データ基盤を持つ会社」だという示唆です。
3つ目は、AladdinとPreqinを軸にした金融テクノロジーの価値上昇です。テクノロジー・サブスクリプション売上は前年同期比22%増、ACVは14%増でした。プライベート・クレジット市場が拡大するほど、透明性、評価、ベンチマーク、リスク管理の需要が増えるため、運用会社の差は運用成績だけでなく、データとワークフローでも開きやすくなります。
4つ目は、401(k)へのオルタナティブ資産組み入れを後押しする米労働省の提案です。3月30日の提案は、401(k)でオルタナティブ資産を検討する際に、実績、手数料、流動性、評価、ベンチマーク、複雑性といった要素を客観的に検討する枠組みを示しました。BlackRockはこの流れを、LifePathとPreqin、プライベート資産運用の三位一体で取りにいく構えです。これは米国の話に見えて、日本でもDC、iDeCo、NISA、IFAの文脈で「長期資産形成を誰が設計し、どこまで私募資産や低コストETFを提案できるか」という競争を加速させます。
総じて、今回の決算は運用業界を、1つはETF・債券・国際分散でスケールを取りに行ける会社、2つ目はプライベート・クレジットやインフラで機関投資家資金を回せる会社、3つ目はそれを支えるデータ・リスク管理・販売プラットフォームを持つ会社、という3層で見直すべきだと示しています。逆に言えば、単一商品依存、リテール解約依存、データ基盤の弱い会社には相対逆風です。
今後の四半期程度までの投資戦略とスタンス
スタンスは、世界の上場資産運用株、オルタナティブ運用株、金融データ・販売プラットフォーム株に対してやや強気です。特に、ETFと私募資産、テクノロジーの3点を束ねられる大型株を選好します。日本株では、NISA後の個人資金流入を私募資産、ラップ、IFA、投信残高の拡大に転換できる会社に選別強気です。
ベースシナリオでは、株式と金利のボラティリティは残るものの、信用イベントは局地的にとどまり、債券ETF、国際分散、機関投資家向けプライベート・クレジットへの資金シフトが続くとみます。この場合は、大型総合運用株と、国内ではアドバイス機能と商品棚の広い証券・資産運用・IFAプラットフォームが優位です。アップサイドは、DOLルールの進展と保険マネーの私募クレジット流入加速です。ダウンサイドは、リテール向け私募資産の解約が機関投資家側のセンチメントまで冷やすケースと、株安による平均残高減少が手数料収入を押し下げるケースです。ヘッジとしては、私募資産一本足の銘柄を避け、ETFやデータ収入の比率が高い銘柄に寄せるのが有効です。
モニタリング、確認すべき主要ポイントやリスク要因
今後の確認ポイントは5つです。1つ目は、債券ETFと国際分散ETFの流入が4月以降も続くか。2つ目は、HPSとPreqinの統合効果が売上だけでなくフィーミックスと営業利益率にどう乗るか。3つ目は、私募クレジットで保険会社や年金の資金が本当にリテール減速を相殺できるか。4つ目は、DOL案が年後半に向けてどこまで具体化するか。5つ目は、日本で資産形成制度改革が販売チャネルやIFAのAUM成長にどう波及するかです。リスクは、市場下落による平均AUMの悪化、私募資産の評価・解約問題、規制議論の遅延、そして商品競争の激化です。
プライム市場の関連銘柄へのインプリケーション
- 8604 野村ホールディングス。日本を軸にグローバルで証券、投資銀行、資産運用を展開し、投資信託設定・投資一任・投資ソリューションまで持つ総合金融グループです。BlackRock決算が示した「相談先の絞り込み」と「公募・私募を束ねた提案力」の評価軸は、国内では野村の資産管理型営業や投資運用機能の再評価につながりやすいとみます。特に、NISA拡大後に残高ビジネスへどこまで転換できるかが焦点で、株価示唆は+3です。
- 8591 オリックス。多角的金融サービスに加え、事業投資、コンセッション、不動産、PEファンド運営まで持つため、日本株の中では私募資産とインフラの波に最も素直に乗りやすい銘柄の1つです。BlackRockが強調したインフラ、保険マネー、機関投資家型のプライベート資産拡大は、オリックスの日本PEファンド組成や事業投資の評価を押し上げやすく、株価示唆は+4と考えます。
- 4765 SBIグローバルアセットマネジメント。プライム市場上場で、アセットマネジメント事業とファイナンシャル・サービス事業を持ち、低コスト商品や金融情報提供を通じた資産形成支援に強みがあります。直近では国内初のサウジアラビア株式ETFの上場も含め、商品ラインアップの拡張を進めています。BlackRock決算が示した「低コスト×商品幅×投資家教育」の重要性と整合的で、国内の資産形成拡大テーマの受け皿として株価示唆は+3です。
スタンダード・グロース市場の関連銘柄へのインプリケーション
- 4419 Finatextホールディングス。東証グロース上場で、「金融をサービスとして再発明する」を掲げ、デジタル技術とデータ解析で金融サービスの企画から運営までを支援する金融IT企業です。BlackRockがAladdinとPreqinで示した通り、今後は運用力だけでなく、販売・提案・リスク管理のワークフロー整備が差になります。国内金融機関のDX投資が続くなら、波及余地は大きく、株価示唆は+3です。
- 7343 ブロードマインド。東証グロース上場で、保険、証券、住宅ローン、不動産を横断してワンストップ提案ができる、国内でも希少な金融コンサルティング企業です。BlackRockのいう「ホールポートフォリオ」は日本ではこうした横断提案力として表れやすく、金融ウェルビーイングや継続相談ニーズの高まりは追い風です。商品仲介単体より顧客接点の深さが強みで、株価示唆は+3です。
- 7345 アイ・パートナーズフィナンシャル。東証グロース上場のIFAプラットフォーム企業で、IFA向け支援と金融商品仲介を中核にしています。BlackRock決算では、AperioやSpiderRock、Aladdin Wealthなど、アドバイザーの実装力を支える基盤が強く評価されました。日本でも独立系アドバイザー経由の預かり資産が伸びる局面では、所属IFA数と媒介資産残高の拡大がそのまま評価材料になりやすく、株価示唆は+4です。
関連ETFへのインプリケーション
- AGG。iShares Core U.S. Aggregate Bond ETFです。BlackRockの1Q26ではインデックス債券ETFが41Bドルの純流入で最大のドライバーになりました。ボラティリティが残る局面では、債券ETFは再配分と待機資金の受け皿になりやすく、最も素直な追い風を受けるETFの1つとみます。示唆は+4です。
- IEFA。iShares Core MSCI EAFE ETFです。先進国の米国除く株式に幅広く投資する商品で、BlackRockは四半期中の国際分散需要と先進国株の相対アウトパフォームが実効フィーレート改善に寄与したと説明しました。米国一極集中の反動を取りにいく資金の受け皿として、示唆は+4です。
- IEMG。iShares Core MSCI Emerging Markets ETFです。新興国の大型・中型・小型株まで広くカバーする商品で、BlackRockはエマージング市場と単一国配分をiSharesの意味のあるアップサイドと位置づけました。リスクは高いものの、国際分散が継続するならフロー面の恩恵は大きく、示唆は+4です。
関連海外株式へのインプリケーション
- BLK、BlackRock。機関・個人向けの投資運用サービスに加え、Aladdin、eFront、Cachematrixなどの金融テクノロジーを持つ、世界最大級の総合運用会社です。今回の決算ではAUMが13.89Tドル、純流入130Bドル、調整後EPS12.53ドル、テクノロジー売上22%増という形で、公募、私募、テクノロジーの三位一体が実証されました。今後数四半期も、ボラティリティ下で資金移動が続くほど相対シェアを取りやすい構図で、海外株の本命として株価示唆は+5です。
- APO、Apollo Global Management。資産運用、退職サービス、自己投資を持ち、Atheneを通じた退職・保険マネーとの接続に強いオルタナティブ運用会社です。BlackRockが語った、保険会社によるプライベート・クレジット需要拡大と退職口座への私募資産導入という2つの潮流は、Apolloの勝ち筋とも重なります。私募資産の資金源がリテールから保険・年金へ重心移動する局面では、株価示唆は+4です。
- KKR、KKR & Co.。オルタナティブ資産運用に加え、保険ソリューションと戦略投資を持つグローバル投資会社です。Reutersによれば、KKRは日本でもプライベート・クレジットの初期拡大を成長機会と見ており、企業統治改革とインフレ定着を背景に事業拡大を進めています。BlackRock決算と合わせて見ると、機関投資家主導の私募資産拡大というテーマに沿う銘柄ですが、私募クレジット解約懸念のヘッドラインには相対的に振られやすく、株価示唆は+3です。
最後に一言でまとめます。今回のBlackRock決算で一番重要なのは、資金流入が単なるインデックス一本ではなく、債券ETF、国際分散、私募資産、アドバイザー支援、データ基盤へと横に広がったことです。見るべきポイントは、今後もその流れが続くか、そして日本で同じ勝ち筋を持つ企業がどこか、この2点です。以上。
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【AIによる分析に関する注記】
本レポートにおける分析、判断、および執筆は、すべてAIによって自動生成されています。そのため、現時点ではその出力が必ずしもお客様の要求水準に達していない可能性があります。 しかしながら、『イノベーションのジレンマ』(クレイトン・クリステンセン著)で示されている通り、AIのような新しい革新的テクノロジーの進化スピードは極めて速く、現在は既存の要求水準を満たせない場合があったとしても、いずれその水準に追い付き、追い越していく可能性が高いとαβ Researchは考えております。本レポートの利用に際しては、この点もご承知おきください。
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- シティグループの1Q決算は、売上高246億ドル(前年比14%増)、EPS 3.06ドル、RoTCE 13.1%と市場予想を上回る好調な結果であり、MarketsだけでなくServices、Banking、Wealth、Cardsと幅広い事業部門での収益改善が見られた - 好決算の背景には、新規マンデート増加やクロスボーダー取引拡大によるServicesの力強い成長、Marketsの好況、クレジットカードの信用コスト改善に加え、変革費用のピークアウトによる固定費圧力の緩和がある - 会社側は好決算にもかかわらず通期ガイダンスを据え置き、自社株買いを加速させつつ、5月のInvestor Dayで中期的な収益力改善ストーリーとオーガニック成長への集中を示す方針である