レポートの要点
- •AMDの2025年第4四半期決算は、データセンターCPUとAI向けGPUの好調により売上高・EPSともに市場予想を上回り、ポジティブサプライズ寄りの内容であった。
- •中国向けMI308売上や在庫評価減の戻し入れといった一過性要因が利益を押し上げたため、実力値の評価には注意が必要だが、2026年後半のMI450とラックスケール「Helios」の本格立ち上げによる成長ストーリーは明確である。
- •短期的には株価のポジティブな反応がメインシナリオであり、日本株では半導体製造装置・評価装置関連銘柄、米国株ではTSMCやHPE、LenovoなどAIインフラ関連企業に恩恵が及ぶ見込み。
(αβ Research 半導体・AIインフラ担当)
本日はAMDの2025年第4四半期および通期決算についてご報告します。内容を一言で言うと、データセンターCPUとAI向けGPUの両輪で想定以上に強く、さらに2026年後半のMI450とラックスケール「Helios」立ち上がりを見据えた成長ストーリーも明確で、全体としてポジティブサプライズ寄りの決算だったと評価しています。一方で、中国向け売上と在庫関連の一過性要因が混在しているため、実力値の見極めが重要な決算でもあります。
まず主要な実績です。2025年第4四半期の売上高は前年比34%増の102.7億ドル、非GAAPの希薄化後EPSは1.53ドルでした。セグメント別では、データセンターが前年比39%増の54.0億ドルと過去最高で、EPYCのサーバーシェア拡大とInstinctのMI350シリーズの立ち上がりが牽引しています。クライアント・ゲーミングは前年比37%増の39.0億ドルで、特にクライアントPC向けは前年比34%増の31.0億ドルと好調でした。ゲームは前年比50%増の8.43億ドルと伸びましたが、会社側は2026年について、現行コンソールサイクル後半に伴いセミカスタムSoCが「大幅な2桁%減収」になる見通しを示しており、ここは先行きの弱材料です。組み込みは前年比3%増の9.50億ドルと、小幅ながらも底入れを示唆しています。収益性の面では、第4四半期の粗利率は57%まで上昇し、営業利益は29億ドル、営業利益率は28%と非常に高水準でした。フリーキャッシュフローも21億ドルと、前年同期比でほぼ倍増しています。
次に市場予想との比較です。今回の第4四半期は、EPSが1.53ドルと市場予想を0.21ドル上回り、売上高も102.7億ドルと市場予想を約6%上回りました。見た目の強さに加えて、マネジメントのコメントからは、データセンターで「CPUもGPUも期初想定以上に強い」という温度感が読み取れます。
ただし、上振れの中身には注意点があります。第4四半期には中国向けMI308の売上が約3.9億ドル含まれており、これは会社の当初ガイダンスには入っていなかった上振れ要因です。加えて、MI308に関する在庫評価減の戻し入れが約3.6億ドルあり、これが粗利率を押し上げています。会社説明では、これらの一過性要因を除くと粗利率は概ね55%程度で、前年差の改善はおよそ0.8ptという整理でした。つまり、決算は強いのですが、粗利率と利益の「見かけの強さ」には一回限りの追い風が含まれており、2026年を読む上では、プロダクトミックス改善と規模の経済がどこまで継続するかが焦点になります。
会社側の見通しとガイダンスです。2026年第1四半期の売上高ガイダンスは98億ドル±3億ドルで、前年比では32%増を見込んでいます。第1四半期の粗利率は55%をガイドしており、先ほどの在庫戻し入れは第4四半期で処理済みで、第1四半期ガイダンスはクリーンだという説明でした。注目点は2つあります。1つ目は中国です。第1四半期にMI308の中国向け売上を約1億ドル織り込む一方、それ以降は「状況が流動的」として追加分を見込んでいません。つまり、中国の扱いは上振れオプションではあるものの、ベースシナリオは保守的です。2つ目はデータセンターAIの時間軸です。MI355は上期にかけて継続的にランプレートを上げ、2026年後半はMI450が「インフレクションポイント」で、第3四半期から売上寄与が始まり、第4四半期でボリュームが大きく立ち上がり、2027年に本格化する、という絵を明確にしています。さらにCPU側でも、通常は季節性で弱い第1四半期にデータセンターが伸びる見立てで、EPYCの需要がAIインフラ拡大と連動して強含んでいる点を強調しています。
ここまでを踏まえた株価への示唆ですが、短期的にはポジティブな反応がメインシナリオです。理由は、1つは実績がコンセンサスを明確に上回ったこと、もう1つは第1四半期ガイダンスが前年比で強く、かつデータセンターが順調に伸びる絵が示されたことです。一方で、注意すべきリスクもはっきりしています。第1に、中国向けGPUのライセンスと輸出規制は読みづらく、上振れにも下振れにもなり得ます。第2に、PCはメモリなどのコスト上昇が逆風で、会社側もPC市場全体はやや減速を見込んでおり、成長ドライバーが「シェア拡大とプレミアムミックス」に寄る分、競争環境次第ではブレます。第3に、2026年後半のMI450とHeliosはラックスケール中心で、立ち上げは製品力だけでなく、ラック統合、検証、供給網の実行が勝負になります。会社側は供給制約は想定していないと述べていますが、投資家心理としては、ここに実行リスクのディスカウントが残りやすい局面です。以上から投資スタンスとしては、短期は「やや強気」、中期は「強気」寄りで、押し目局面ではデータセンターAIの立ち上げ進捗を確認しつつ段階的にエクスポージャーを高める戦略が有効と考えます。
IR担当者・マネジメントにヒアリングしたいポイントです。まず、MI450とHeliosの第3四半期から第4四半期にかけた立ち上がりについて、受注から売上認識までのタイミング、ラックビルダーへの出荷条件、主要部材のボトルネック候補を具体的に確認したいです。次に、粗利率について、一過性要因を除いたベースの55%前後から、MI450の立ち上げとミックス改善でどの程度のレンジを狙うのか、四半期ごとの変動要因も含めて整理したいです。さらに、中国については、MI325以降のライセンス申請のステータス、想定される製品ポートフォリオの選択肢、そして「織り込まない前提」を置いている期間の考え方を確認したいです。最後に、OpExは成長投資として合理的ですが、2026年にレバレッジが出るという発言の裏側として、R&DとGo-to-Marketの増分の内訳、そして売上成長率に対してどの程度のOpEx伸び率を許容するのか、フレームを聞きたいです。
続いて、日本株へのインプリケーションです。プライム市場では、AI向け先端ロジックと高性能GPUの増産が継続する前提で、半導体製造装置・評価装置に追い風と見ます。例えばアドバンテスト(6857)は、先端プロセスの高性能チップほどテスト工程の重要性が増し、AI関連投資の継続が受注モメンタムを下支えしやすい銘柄です。東京エレクトロン(8035)は、AMDが先端ノードのロードマップを強く打ち出し、2027年に向けて2nm世代にも踏み込む姿勢を示したことで、ファウンドリーの先端投資が底堅いシナリオではポジティブです。レーザーテック(6920)は、EUV周辺のマスク検査というボトルネック領域で、先端ロジックの世代更新が進むほど恩恵を受けやすく、AMDのロードマップ前倒しが確認される局面では連想買いが入りやすいと考えます。
スタンダード・グロース市場では、「AI計算資源の拡大」と「エンタープライズAIの普及」がテーマになります。ブロードバンドタワー(3776)はデータセンター関連で、AIのオンプレ・クラウド双方の需要増加により、コロケーション需要や周辺サービスの引き合いが改善する可能性があります。HPCシステムズ(6597)は、研究機関や企業向けにHPC・AI基盤を提供する立ち位置から、GPUサーバー需要の拡大局面では案件増加が期待されます。AI inside(4488)は、企業の業務AI活用が進むほど、推論コスト低下と導入ハードル低下が追い風になり得るため、AMDがエンタープライズAIスタックを強化していく流れは間接的にポジティブです。
関連ETFについては、米国テックとAIテーマに連動しやすい商品が素直な受け皿になります。iFreeETF NASDAQ100(2840)は、AMDの寄与が大きい米国ハイテク全体の方向感を取りに行く選択肢です。iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(1655)は、より分散された形で米国株上昇の恩恵を取り込みやすく、個別のボラティリティを抑えたい投資家に向きます。グローバルX AI&ビッグデータ ETF(223A)は、AIの中長期成長というテーマにフォーカスした受け皿で、AMDのデータセンターAI成長と同じ方向性に賭ける設計です。
最後に海外株式へのインプリケーションです。まずNVIDIA(NVDA)はAI GPUで最大の競合ですが、AMDのMI450とラックスケールの本格参入は競争激化要因である一方、需要超過が続く局面では市場拡大そのものが追い風になり得ます。次にTaiwan Semiconductor Manufacturing(TSM)は、AMDの最先端CPU・GPUの主要製造パートナーとして、AMDの出荷増加や先端ノード移行が進むほど稼働率と先端プロセスの需要を押し上げる構図です。システム側ではHewlett Packard Enterprise(HPE)が、Heliosラック提供を表明しており、AMDのラックスケール展開が進めばAIサーバー・ネットワークを含むシステム販売の機会増につながります。同様にLenovo Group(0992.HK)もHeliosラックの提供計画が言及されており、AIインフラの商用展開が加速する局面ではサーバー事業の成長ドライバーになり得ます。加えて、メモリ側ではMicron Technology(MU)が、HBMを含む高帯域メモリ需要の拡大という観点で、AIサーバー投資の増勢が続くほど業績感応度が高い点は押さえておきたいところです。
以上。
【免責事項】
本レポートは、AI(人工知能)が収集・判断した情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。記載された見解は作成時点での判断であり、予告なく変更されることがあります。 本レポートは情報提供のみを目的としており、特定の有価証券の売買やその他の取引を推奨し、あるいは勧誘するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。本レポートの利用により生じたいかなる損害についても、αβ Researchは一切責任を負いません。
【AIによる分析に関する注記】
本レポートにおける分析、判断、および執筆は、すべてAIによって自動生成されています。そのため、現時点ではその出力が必ずしもお客様の要求水準に達していない可能性があります。 しかしながら、『イノベーションのジレンマ』(クレイトン・クリステンセン著)で示されている通り、AIのような新しい革新的テクノロジーの進化スピードは極めて速く、現在は既存の要求水準を満たせない場合があったとしても、いずれその水準に追い付き、追い越していく可能性が高いとαβ Researchは考えております。本レポートの利用に際しては、この点もご承知おきください。
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