レポートの要点
- •厚生労働省は2026年度の診療報酬改定で、在宅医療における「必要性の薄い訪問」と「利益率が高すぎる訪問看護」を是正する方針であり、訪問診療では管理料の厳格化や24時間体制の評価見直し、訪問看護では同一建物内の報酬細分化や定額制導入により、高密度・頻回訪問による収益構造にブレーキをかける内容である
- •市場へのインプリケーションとして、短期的には在宅・ホスピス関連のグロース領域で規制リスクプレミアムの上乗せが起きやすく、特に高齢者住宅に併設・隣接する訪問看護モデルは単価低下と上限設計により売上成長率と営業利益率の見通しが切り下がる可能性が高い
- •投資戦略としては、短期的に制度改定の直撃を受ける可能性が高い銘柄の比率を落とし、制度対応を支える医療ITや業務効率化、およびディフェンシブ領域の銘柄へシフトする戦略が有効である
(αβ Research ヘルスケアサービス・ストラテジー担当)
本日は2026年2月7日に報じられた、厚生労働省が2026年度の診療報酬改定で在宅医療の「必要性の薄い訪問」と「利益率が高すぎる訪問看護」にメスを入れる方針について、市場へのインプリケーションを整理します。狙いは医療費の抑制に加えて、高齢者住宅を起点にした囲い込み型のビジネスモデルを是正し、医療・介護ニーズに見合った提供頻度と体制に戻す点にあります。
まず訪問診療については、診療料と管理料のうち、管理料の請求の考え方が実質的に厳格化される方向です。月2回以上の訪問で高くなる区分がある一方で、がんなどの重症患者や要介護度の高い利用者の割合が一定の基準を下回る診療所では、月2回以上訪問していても、月1回訪問の場合の低い額しか請求できないように改めるとされています。厚労省のデータでは、医療機関の69%が、65歳以上の患者のうち通院が特に難しい要介護や認知症の割合が5割を超える一方で、その割合が1割以下の施設も13%あります。改定後は、医療ニーズが低い患者への頻回訪問を抑え、月1回を標準と位置づけ、通院可能な患者は外来で対応するよう促す流れです。さらに在宅みとりなどに備える24時間往診の評価についても、自院だけで体制を確保する場合と他院と連携する場合で差をつけ、24時間体制への関与が乏しい場合の報酬を低くする方向とみられます。
次に訪問看護は、同一建物内の利用者数に応じた区分を、現行の2区分から5区分へ細分化します。具体的には2人以下、3〜9人、10〜19人、20〜49人、50人以上という形で、高密度になるほど報酬が抑制されやすい設計に変わります。加えて10人以上の区分では、1カ月あたりの訪問日数が20日目までと21日目以降で報酬額を変え、過度な連日訪問で収益が伸び続ける構造を抑えにいきます。さらに重要なのが、高齢者住宅などに併設・隣接する訪問看護ステーションに対して、報酬が1日単位で定額になる仕組みを新設し、同じ日に頻繁に訪問しても報酬が増えない形にする点です。同一建物内で1日3人以上にサービスを提供した回数は2023年までの10年で15倍以上に増えており、ホスピス型住宅の増加が背景にあります。大手事業者では営業利益率が10%超、20%超の例もあったとされ、今回の改定は収益性の源泉である「高密度」「頻回」の組み合わせに直接ブレーキをかける内容と捉えています。
市場へのインプリケーションとしては、短期的には在宅・ホスピス周辺のグロース領域に、規制リスクプレミアムの上乗せが起きやすいと見ています。特に、高齢者住宅に併設・隣接した訪問看護とセットで稼ぐモデルは、単価低下と上限設計の両面で、売上成長率と営業利益率の見通しが同時に切り下がりやすい局面です。一方で中期的には、質の高い在宅医療、24時間体制の実効性、重症・高介護度の患者比率といった「本来の医療ニーズ」に沿ったプレイヤーが相対的に評価されやすくなり、さらに制度対応コストの上昇が業界の再編と集約を促す可能性があります。外来への誘導が進む場合、クリニック周辺の外来需要や処方箋枚数にはじわりと追い風が出る一方、在宅の過剰サービスが是正されるため、関連領域は一律に増えるというより、構造が組み替わると考えるのが自然です。
今後の四半期程度の投資スタンスは、在宅・ホスピス純粋プレイには「やや弱気」、一方で制度対応を支える医療ITや業務効率化には「中立からやや強気」という整理です。ベースシナリオは、2026年度改定の具体的な点数設計が固まるにつれて、対象モデルの利益率見通しが段階的に切り下がり、バリュエーション調整が先行する展開です。この局面では、個別株は患者ミックスと建物内比率、訪問頻度の実態、24時間体制の関与度合いを軸に、同じ在宅でも勝ち負けが明確に分かれます。ポジショニングとしては、規制の直撃を受ける可能性が高い銘柄の比率を落としつつ、相対的に制度変更が追い風になり得る「コンプライアンス強化」「請求・記録の高度化」「人員配置の最適化」を提供できる銘柄へ寄せる戦略が有効です。ヘッジの考え方としては、セクターのボラティリティが上がりやすい局面なので、広範な指数ETFを併用してベータを抑えるか、医薬品などディフェンシブ寄りのETFを組み合わせ、在宅サービス周辺の個別リスクをコントロールするのが現実的です。
モニタリングと確認すべきポイントは、制度設計の「線引き」です。具体的には、訪問診療でいう重症患者や要介護度の比率の基準値がどこに置かれるのか、月1回標準に対する例外条件はどの程度認められるのか、24時間往診の評価で「関与が乏しい」と判定される要件は何か、訪問看護の定額方式の対象となる「併設・隣接」の定義と、定額単価水準、経過措置の有無です。また、制度が厳しくなるほど、事業者が患者区分の見直しやサービス提供形態の変更で適応してくるため、統計上の「重症比率」や「訪問回数」が見かけ上変化するリスクもあり、制度導入後の実態把握が重要になります。
個別銘柄のインプリケーションです。まずプライム市場では、アンビスホールディングス(7071)はホスピス型住宅と訪問看護の組み合わせが論点になりやすく、定額方式や高密度区分の抑制が収益構造に影響し得るため、株価インプリケーションは-3程度と見ています。次にエス・エム・エス(2175)は、介護・医療事業者向けの経営支援やITプロダクトを持ち、報酬抑制で顧客の財布のひもが固くなる逆風はあるものの、請求や業務の厳格化が進むほど業務効率化ニーズが強まるため、株価インプリケーションは0から+1程度の中立寄りです。メドレー(4480)は医療現場のDXやオンライン活用の文脈で、外来誘導や効率化の追い風が期待しやすく、株価インプリケーションは+1から+2程度を見込みます。
次にスタンダード・グロース市場では、日本ホスピスホールディングス(7061)はビジネスモデルの近接性が高く、制度変更の感応度が大きいと考えられるため、株価インプリケーションは-4程度とやや大きめに見ています。一方でeWeLL(5038)は訪問看護向けの業務支援や記録・請求の効率化と親和性が高く、事業者が「少ない資源で適正に回す」方向へ動くほど導入メリットが増えやすいので、株価インプリケーションは+2程度です。ケアサービス(2425)は介護・在宅周辺で、過剰サービス是正の影響を受ける可能性がありつつも、提供内容の質と運営効率で吸収できる余地もあるため、株価インプリケーションは-1から-2程度を想定します。
関連ETFでは、まずNEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信(1626)は、在宅関連銘柄の一部が含まれる可能性があり、短期的には規制リスクで上値が重くなる局面もあり得るため、インプリケーションは-1程度です。NEXT FUNDS 医薬品(TOPIX-17)上場投信(1621)は、外来誘導が進むほど処方周辺の需要が底堅くなりやすく、かつディフェンシブ性も高いことから、インプリケーションは0から+1程度です。NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343)は、ホスピス型住宅の新規供給ペースが鈍化する場合でも指数全体への影響は限定的とみられ、インプリケーションは0程度の中立で見ています。
最後に海外株式です。日本の制度改定は直接の業績影響というより、在宅・ホスピスの高収益モデルに対する規制強化が先進国で共通テーマになり得るという意味で、投資家心理の参考材料になります。米国ではユナイテッドヘルス・グループ(UNH)は保険に加えて医療提供や在宅ケアを含むサービス領域を持ち、出来高型から価値ベース型への移行を進めているため、単純な訪問回数に依存しにくい点が相対的に強みで、インプリケーションは+1程度です。ヒューマナ(HUM)も在宅ケアに注力している一方、制度設計やレート変更への感応度が高い領域でもあるため、インプリケーションは0から-1程度の中立寄りです。純粋な在宅・ホスピス色が濃いエンハビット(EHAB)のような事業者は、規制が利益率に直結しやすいモデルであり、同種のリスクが意識される局面では相対的に逆風となり得るため、インプリケーションは-1から-2程度を見込みます。
総括すると、今回の論点は「在宅そのものの否定」ではなく、「ニーズに見合わない頻回訪問」と「囲い込みによる収益最大化」の是正です。投資戦略としては、短期は制度直撃の純粋プレイのリスクを抑え、制度対応を支えるDXと運営効率化、そしてディフェンシブ領域を組み合わせるのが合理的だと考えます。以上。
【免責事項】
本レポートは、AI(人工知能)が収集・判断した情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。記載された見解は作成時点での判断であり、予告なく変更されることがあります。 本レポートは情報提供のみを目的としており、特定の有価証券の売買やその他の取引を推奨し、あるいは勧誘するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。本レポートの利用により生じたいかなる損害についても、αβ Researchは一切責任を負いません。
【AIによる分析に関する注記】
本レポートにおける分析、判断、および執筆は、すべてAIによって自動生成されています。そのため、現時点ではその出力が必ずしもお客様の要求水準に達していない可能性があります。 しかしながら、『イノベーションのジレンマ』(クレイトン・クリステンセン著)で示されている通り、AIのような新しい革新的テクノロジーの進化スピードは極めて速く、現在は既存の要求水準を満たせない場合があったとしても、いずれその水準に追い付き、追い越していく可能性が高いとαβ Researchは考えております。本レポートの利用に際しては、この点もご承知おきください。
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