レポートの要点
- •Airbnbの2025年第4四半期決算は、売上高と総予約取扱高が市場予想を上回り成長が再加速した一方、EPSは市場予想を下回った。
- •成長再加速の主要因は、プロダクト改善(Project Hawaii)、価格・キャンセル・手数料体系の改善(総額表示、後払い、手数料簡素化)、イベント連動型供給戦略(パリ五輪、FIFA W杯)である。
- •短期的にはEPS未達が株価に影響する可能性もあるが、プロダクト改善による成長加速は評価でき、中期的には「やや強気」の投資スタンスが妥当である。
(αβ Research グローバルインターネット・オンライン旅行セクター担当)
本日はAirbnbの2025年10-12月期、いわゆる2025年第4四半期決算と、決算説明会の論点についてご報告します。第一印象としては、トップラインと取扱高の再加速が明確で、プロダクト起点の成長が戻ってきた一方、EPSは市場予想を下回っており、短期の株価は「成長の確度」と「利益の見え方」の綱引きになりやすい内容です。
まず実績です。売上高は前年同期比12%増の27.8億ドルで、市場予想を約0.7億ドル上回りました。一方でEPSは0.56ドルと、市場予想を0.09ドル下回っています。取扱高の指標である総予約取扱高、GBVは前年同期比16%増の204億ドルと、過去2年超で最も高い成長率の四半期になりました。宿泊・体験の予約数も前年同期比10%増と、2025年の中で最も強い伸びです。利益面では、調整後EBITDAが7.86億ドル、マージンは28%で会社ガイダンスを上回りました。純利益は3.41億ドルですが、約0.9億ドルの一過性税負担がマイナス要因と説明されています。キャッシュフローも強く、第4四半期のフリーキャッシュフローは5.21億ドル、通期では46億ドルでフリーキャッシュフローマージン38%と高水準です。株主還元では第4四半期に11億ドル、通期で38億ドルの自社株買いを実施しており、2022年のプログラム導入以来、希薄化後株式数を約9%減らしたとしています。
次に、成長再加速のドライバーです。経営陣が強調したのは、いわゆる「Project Hawaii」に代表される、検索から予約までの導線改善を高速で積み上げてきた点です。具体的には、検索フィルターや予約フローの改善、ウェブからアプリへの誘導、チェックアウト体験の再設計など、細かな改善の積み上げが2025年だけで数億ドル規模の増収につながった、という説明でした。
さらに、2025年第4四半期の加速に効いた施策として、価格・キャンセル・手数料体系の3点が挙げられています。1つ目が「総額表示」による価格透明性の向上です。隠れ手数料は旅行の大きな摩擦点で、総額を先に見せる設計に振り切ったことが、予約の意思決定を早めたと読み取れます。2つ目が「Reserve Now, Pay Later」、つまり予約時の支払いを0ドルにできる仕組みで、特に高単価かつ大型の一棟貸しに効いたとしています。3つ目が手数料体系の簡素化で、API接続のホストを単一手数料へ移行し、クロスリスト物件の価格競争力を上げた点です。会社はこの3つの機能だけで、第4四半期に予約数で200bp超、GBVで300bp程度の押し上げ効果があったと推計しています。
供給面では、単なる供給増ではなく「イベントで供給を引き上げる」戦略が再現性のある型として語られました。2024年パリ五輪で4万件超のリスティングを追加し、その相当数がイベント後もホストとして継続したことを成功例として、2026年FIFAワールドカップでも北米16都市で同じプレイブックを回す方針です。同時に、品質改善にも踏み込んでいて、低品質リスティングを50万件超削除し、上位品質の「Guest Favorites」が2025年に前年比30%増、第4四半期には予約の約半分を占めたと説明しています。ここはリピート率とNPSの改善に直結し、成長再加速の裏取りになっています。
地域別では、ラテンアメリカが高い10%台、アジア太平洋が10%台半ば、欧州が高い1桁、北米が1桁半ばという伸びでした。アジア太平洋については、豪州は浸透が進む一方、インドや東南アジア、韓国などは伸びしろが大きいという整理で、特にインドは直近四半期で約50%成長と強調されました。また日本についても、国内旅行の深掘りを2024年第4四半期から開始し、手応えが出ているとのコメントがありました。
新規事業では、サービスと体験、そしてホテルの拡張が柱です。体験については、予約の約50%が宿泊予約に紐づかない、つまり「Airbnbで泊まっていない人」が体験だけを買っているという点が示され、顧客獲得チャネルとしての可能性が示唆されました。ホテルは現時点で予約数の1桁%台ですが、全体のほぼ倍の成長率で伸びているとされ、当面はブティックや独立系ホテルを中心に拡大する方針です。
AIについては、短期の収益貢献を過度に織り込んでいない点がポイントです。まずカスタマーサポートでAIエージェントを実装し、北米では問い合わせの約1/3を人手なしで解決できているとしています。今後は多言語化と音声対応まで広げる構想です。検索はAI検索を小規模にテスト中で、スポンサード枠などの広告商品は、AI検索のフォームファクターを固めた後に設計するというスタンスでした。会社側は、AI検索による上振れは現時点の業績見通しに織り込んでいないと明言しています。
会社ガイダンスとしては、2026年第1四半期の売上高見通しが25.9億ドルから26.3億ドルで前年同期比14%から16%増と、増収率のさらなる加速を示しています。為替が約3ptの追い風になる一方、通期では為替追い風は薄れる見立てです。GBVは前年同期比で10%台前半、予約数は高い1桁増、ADRは価格上昇と為替で緩やかに上がる想定です。利益率は2026年第1四半期で前年同期比おおむね横ばい、通期でも調整後EBITDAマージンは前年並みを掲げています。税率については、2026年から実効税率が10%台半ばから後半へ低下する可能性がある、と会社側が述べており、純利益の見え方の改善要因になり得ます。
以上を踏まえた株価への示唆です。短期的には、EPS未達という一点だけを見る投資家にはネガティブに映る余地がありますが、取扱高と売上が加速している背景が、マクロ依存ではなくプロダクト改善と価格透明性の積み上げで説明されている点は評価できます。特に、予約時0ドルの後払いが「大型・高単価・長めのリードタイム」に効いているなら、競合に対する差別化になりやすい一方、キャンセル率の上振れや、需要鈍化局面での反動が出るリスクは常に残ります。したがって投資スタンスとしては、中期、3ヶ月から1年の時間軸で「やや強気」、短期は決算後の株価反応とガイダンス消化を見ながら「中立からやや強気」という整理が妥当だと考えます。上振れカタリストは、手数料体系の簡素化がより広いホストに広がり価格競争力が改善すること、ホテル供給の拡大が想定より早く進むこと、そしてAIサポートの多言語・音声展開によるコストと体験の両面改善です。下振れリスクは、景気後退で旅行需要が鈍る局面、規制強化や自治体の対応、後払いの拡大に伴うキャンセル増加の想定超過、そしてホテル領域でのオペレーション摩擦が想定より大きいケースです。
IR担当者・マネジメントに確認したい点も整理します。1つ目に、Reserve Now, Pay Laterの地域拡大における「解約率の上振れ許容幅」と、解約発生時の在庫再販売率を含むユニットエコノミクスです。2つ目に、単一手数料への移行をAPI以外のホストへ広げる際のロードマップと、価格弾力性の定量効果です。3つ目に、ホテル領域でのコネクティビティ整備にどこまで自社で投資するのか、またホテルのテイクレートと宿泊のテイクレートの差をどう設計するのかです。4つ目に、体験とサービスについて、都市別のプロダクトマーケットフィットを測るKPIと、宿泊へのクロスセル率をどの程度目標としているのかです。5つ目に、AI検索のユーザー体験をどのタイミングで拡大し、広告商品やスポンサード枠を実装する場合の方針とガードレールです。6つ目に、ロイヤルティ施策について、ポイント以外の差別化要素をどの程度テストできていて、宿泊頻度や継続率に効く設計になり得るのかです。
続いて、日本のプライム市場へのインプリケーションです。まずリクルートホールディングス(6098)は、国内宿泊予約領域を持つため、Airbnbが日本の国内需要を深掘りし、価格透明性やUI改善で直販力を上げていくほど、OTA各社は送客単価や囲い込みで競争が厳しくなる可能性があります。次に楽天グループ(4755)も旅行予約と会員基盤を持つだけに、Airbnbの「総額表示」や後払いのような摩擦除去が標準化すると、旅行予約におけるUX競争が一段上がり、プロモーションコストが増える局面では相対的に逆風になり得ます。一方で、旅行需要そのものの底堅さという観点では、ANAホールディングス(9202)のような航空にとっては追い風です。最後に、西武ホールディングス(9024)のようにホテル・リゾート比率が高い企業は、インバウンド回復の恩恵を受けつつも、Airbnbが供給と品質を同時に引き上げてくる局面では、都市部やイベント時の価格競争圧力が強まる点に注意が必要です。
次に、スタンダード・グロース市場へのインプリケーションです。ベルトラ(7048)は体験予約のオンラインプラットフォームで、Airbnbが体験をグローバルに本格展開し、宿泊に紐づかない体験購入を獲得しているという話は、同領域の競争激化を示唆します。差別化された在庫や送客効率の差が業績に直結しやすく、短期的には警戒が必要です。Photosynth(4379)はスマートロックを中心とした入退室管理の会社で、民泊や短期賃貸が伸びるほど、無人運営やセルフチェックインの需要が増えやすく、構造的な追い風が期待できます。手間いらず(2477)は宿泊施設向けの予約管理・チャネル連携の文脈で、Airbnbがホテル在庫を拡張していくなら、施設側のマルチチャネル運用ニーズが増え、周辺のIT投資が底上げされる可能性があります。
関連ETFについてです。まず米国株全体への分散投資という意味では、iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(1655)が最も素直な受け皿で、Airbnbを含む米国大型株の成長加速が追い風になります。為替の影響を抑えたい投資家には、NZAM 上場投信 S&P500(為替ヘッジあり)(2020)のようなヘッジ付きが選択肢になります。テーマ性で見ると、日興AM グローバルインターネットETF(3072)はインターネットプラットフォーム企業へのエクスポージャーが大きく、Airbnbのようなネットワーク型ビジネスの回復局面に相性が良いと考えます。国内の宿泊需要の波及という観点では、グローバルX ホテル&リテール・J-REIT ETF(2098)は、インバウンドと都市部消費の回復が追い風になり得る一方、代替宿泊の競争が激しくなるとホテルの収益性には濃淡が出るため、短期はイベント需要の強さと稼働率のトレンドを見ながらの判断が必要です。
最後に、海外株式へのインプリケーションです。Booking Holdings(BKNG)は世界最大級のオンライン旅行代理店で、宿泊予約の集客力と在庫の厚みが強みです。Airbnbがホテル領域へ踏み込み、価格透明性とUI改善で直販を強めるほど、宿泊在庫の取り合いと獲得コストの上昇という形で競争が厳しくなる可能性があります。Expedia Group(EXPE)は旅行予約の大手であると同時に、バケーションレンタルのVrboを抱えており、まさにAirbnbと競合しやすいポジションです。Airbnbの後払いが大型物件の成約率を押し上げるなら、Vrbo側も同様の購買摩擦除去が求められ、投資負担が増えるリスクがあります。Marriott International(MAR)は世界的なホテルチェーンで、Airbnbが当面ブティック・独立系中心とはいえ、宿泊者の選択肢が広がること自体が、都市部や繁忙期以外の稼働率と単価に競争圧力をかける可能性があります。加えて、Uber Technologies(UBER)は配車とデリバリーの巨大プラットフォームで、Airbnbが空港送迎や食料品配送のようなサービスを試し始めている点は、将来的には競合にも協業にもなり得ますが、少なくとも「旅行の入口から滞在中の体験までをアプリで囲い込む」競争が強まるシグナルとして注目しています。
以上。
【免責事項】
本レポートは、AI(人工知能)が収集・判断した情報に基づき作成されていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。記載された見解は作成時点での判断であり、予告なく変更されることがあります。 本レポートは情報提供のみを目的としており、特定の有価証券の売買やその他の取引を推奨し、あるいは勧誘するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。本レポートの利用により生じたいかなる損害についても、αβ Researchは一切責任を負いません。
【AIによる分析に関する注記】
本レポートにおける分析、判断、および執筆は、すべてAIによって自動生成されています。そのため、現時点ではその出力が必ずしもお客様の要求水準に達していない可能性があります。 しかしながら、『イノベーションのジレンマ』(クレイトン・クリステンセン著)で示されている通り、AIのような新しい革新的テクノロジーの進化スピードは極めて速く、現在は既存の要求水準を満たせない場合があったとしても、いずれその水準に追い付き、追い越していく可能性が高いとαβ Researchは考えております。本レポートの利用に際しては、この点もご承知おきください。
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